結局マーケティングとは何なのか?即答できなければ読む記事。

2023-09-23
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「マーケティングリサーチ」「SNSマーケティング」「コンテンツマーケティング」「メールマーケティング」…。

巷には「マーケティング」という言葉がさまざまなワードと組み合わされ、本来どのような意味だったのかよく分からなくなっています。

「マーケティングコンサルタント」「デジタルマーケター」を名乗る人も大勢おり、読者の皆さんの中には「マーケティング」という言葉に怪しさを感じる人もいるでしょう

マーケティングの3Cや4P、SWOT分析といったそれらしいフレームワークを持ち出されて煙に巻かれた気分になった経験がある方もいるかもしれません。

一方、マーケティングは正しく理解し活用できればとても有用であり、ビジネスの成長を加速させることができることはもちろんのこと、人生を豊かにすることができる強力な概念です。
この記事ではそのマーケティングについて、改めて大枠を理解することを目的とし、初心者でもわかりやすく例を交えて解説します
これからビジネスを広げるためにマーケティングを理解しようと考えている方、「マーケティング担当」になったがそもそもマーケティングが何なのかイマイチ理解できていない方、ぜひ最後まで記事を読んでみてください。

マーケティングの定義とは?言語化すると?

マーケティングの定義

まずはマーケティングという言葉を日本語で説明してみましょう。

マーケティングの分野で有名なピーター・ドラッカーはマーケティングを以下のように定義しています。

端的にまとめると、「ターゲット顧客のニーズを満足させる価値を探し、生み出し、届ける」ということです。

The science and art of exploring, creating and delivering value to satisfy the needs of a target market at a profit. Marketing identifies unfulfilled needs and desires. It defines, measures and quantifies the size of the identified market and the profit potential. It pinpoints which segments the company is capable of serving best and it designs and promotes the appropriate products and services.”

(Kotler, 2012)

この定義の中では、冒頭に記載した「マーケティングリサーチ」や「SNSマーケティング」、「デジタルマーケティング」のようなワードがマーケティング全体を捉えていないことがわかります。

例えば「マーケティングリサーチ」はニーズやそれを満足させる価値を見つける部分のみをさしており、「デジタルマーケティング」はウェブサイトやSNSやメルマガを使った顧客への情報配信に寄っているケースが多く、マーケティング活動全体を捉えていません。

マーケティングに取り組む際には、これら一部の方法にのみ近視眼的に注目するのではなく、改めて「ターゲット顧客のニーズを満足させる価値を探し、生み出し、届ける」ことを意識し、マーケティング活動全体を俯瞰して捉えていく必要があります。

ターゲット顧客のニーズを満足させる価値を探し、生み出し、届ける

さて、マーケティングに取り組む際に、まず「ターゲット顧客」と「ニーズ」はどのように見つければよいでしょうか。

また、それを「満たす価値を探し、生み出し、届ける」ためにはどのようなことを意識すべきでしょうか。以下の5つの点に着目してみます。

  • 普段自分の商品・サービスを購入するだろう顧客が普段どのようなニーズ・悩みを持っているか考える、あるいは調べる。顕在化されたニーズだけではなく、潜在ニーズについても考える。
  • 共通のニーズを持った人たちのまとまりを考える。
  • どのまとまりのニーズをどのように満たすことに注力するのか考える。
  • ニーズを持っている人たちにどう接触し自分の商品・サービスを知ってもらうか考える。
  • 商品・サービスを知ってもらってから購入に至るまでにどんな状態が発生するか考える。

より理解しやすいように、例えば身近な美容院や歯科医院を例にとって考えてみましょう。

美容院のマーケティング検討例

マーケティング 美容院の例

自分の商品・サービスを購入する顧客が普段どのようなニーズ・悩みを持っているか考える

美容院といえば髪を切る場所であり、そのニーズとしては、「流行りのスタイルにしたい」「夏なのでさっぱり涼しくしたい」「就活に向けて大人しくしたい」「毎日忙しくとにかく時間がないのでさっさと済ませたい」など、想像すればキリがありません。

また、想像だけではなく、実際にどのようなニーズがあるのか顧客にヒアリングしてみたり、様々な媒体から情報を得ることも必要でしょう。

顕在化されたニーズだけではなく、潜在的なニーズにも考えを巡らせます。上記は髪を切るという視点での顕在ニーズですが、潜在ニーズとして例えば「かっこいい(かわいい)人に髪を切ってもらいたい」「お話をしたい」「髪を切るついでに眉やネイルやエステやマッサージでリラックスしたい」「最新の雑誌を読みたい」「薄毛を治したい」などこちらも様々あるでしょう。

このような潜在ニーズは顧客へのヒアリングなどからは直接的なヒントは得にくく、日々生活しながら自身がアンテナを張り続けている必要があります。

別の業界の成功例などにも多くのヒントがあるかもしれませんので、普段から自分の業務範囲や業界に留まりすぎず、外に目を向けることも必要です。

共通のニーズを持った人たちのまとまりを考える。

美容院について共通のニーズを持った人たちのまとまりを考える際、例えば世代 X 性別で流行りのスタイル別に共通の顧客をまとめられるかもしれません。リラックスしたいのは激務のビジネスパーソンや育休中のお母さんかもしれません。就活で髪を大人しい雰囲気に整えたいのは大学3年生や専門学生、地方では高校生も多いかもしれません。

このように共通のニーズを持った人たちのまとまりを考えてみます。

現代ではニーズは多様化しており、年齢や性別で簡単に分けられないことも多く、ニーズ視点で分けてからその人たちに共通項があるかを探してみます。

つまり、例えば「大学生や高校生にはどういうニーズがあるか?」から入るのではなく、「髪を整える需要があるのは誰か?」→「就活生?」→「大学3年生や専門学校生や高校3年生?」などというようにまとまりを探していきます。

どのまとまりのニーズをどのように満たすことに注力するのか考える。

上記全てのニーズに対応することはできません。どのニーズに注力するのか(時間とお金を投入するのか)を考えます。

この点は戦略上最も重要といっても過言ではありません。ここを見誤ると後戻りがしづらく、大きな損失が発生する可能性があるためです。

ここで考慮したいのが、自社の商品・サービスの情報だけではなく、ニーズの将来性と競合の情報です。

まず、ニーズの将来性を考慮し、そのニーズが安定的に将来自社に利益をもたらすのかを考慮する必要があります。一過性のものであったり、毎年安定しないようなものでは事業の安定的な成長につながりにくいものです。

また、競合の情報も非常に重要です。分かりやすく将来性があるようなニーズは競合も取り組んでおり、自社がこれから取り組む場合に勝算があるのかは十分に検討が必要です。

例えばオフィス街にある美容院では、忙しいビジネスパーソンをターゲットとして短時間で済むような時短カットメニューがあるといったような店舗は、もうすでにあるものです。

そこに対して真っ向から勝負するか、あるいは忙しいビジネスパーソンをターゲットとしつつも少しずらして出勤前の人を狙って早朝開店をやってみるか、あるいは忙しいビジネスパーソンの短時間カットのニーズは諦めて、仕事帰りのビジネスパーソンの疲れを取りたいというニーズに向けて、カットよりもリラクゼーションメニューやリクライニングシートなどの設備に注力した店舗とするかなど、戦略を練っていきます。

ニーズを持っている人たちにどう接触し自分の商品・サービスを知ってもらうか考える

注力するターゲット顧客とニーズが定まったところで、その顧客へ自社の商品・サービスを知ってもらうにはどうすれば良いでしょうか。

店舗をかまえたりウェブサイトを用意しただけではターゲット顧客には届きません

その顧客が普段どのようなことに興味を持ち、どのような行動をとっているのか調査・分析し、それに合わせた施策を打っていく必要があります。

例えばターゲット顧客が普段どのような場所に出没しているのか、普段どんな媒体を見ているのか、普段どのようなワードで検索をしてどんな記事を読んでいるのか、などあらゆる行動を徹底的に調査します。

ふわっと理解するのではなく、本当に細部まで自分がその顧客になりきれるレベルで調査を行うことが重要です。

例えばオフィス街に出店し、忙しいビジネスパーソンの疲れを取りたいというニーズを狙っていく場合、彼ら・彼女らとの接触を考えてみます。

ニーズを狙う際には、ニーズが表面化していて刈り取れる段階とそうでない(まだ眠っている)段階を意識します。

例えば疲れ取りたいというニーズが表面化しているビジネスパーソンを狙う際には「マッサージ」や「ヘッドスパ」というワードとエリア名を合わせたキーワード検索で自社ホームページが検索上位を取れるようにする、ニーズが表面化していないが将来的に顧客になりそうなビジネスパーソンを狙う場合には、例えばビジネスに有効な身だしなみに関するセミナーやマナー講座を行い、まずは自店舗を知ってもらうなどのアイディアを考え、実行します。

自店舗で提供しているサービスからは一旦離れ、ターゲット顧客が興味のあることやどのような行動を取っているのかを考え、そこにうまく自分の商品・サービスに関するトピックを絡めてアプローチすることが重要です。

商品・サービスを知ってもらってから購入に至るまでにどんな状態が発生するか考え

最後に、自分の商品やサービスを知ってもらってから購入に至るまでにターゲット顧客がどのような行動を取るのか考え、あらかじめ手を打ちます。

まず、ニーズが表面に現れるまでに時間を要するケースが多いので、一度何らかの形で自店舗と接触のあった顧客とは緩くつながることを試みます。例えばメルマガやDMを送ったり、SNSをフォローしてもらったりなどです。

現代の情報社会では顧客は一度得た情報をすぐ忘れてしまうので、一度ターゲット顧客に自分の商品やサービスの情報を伝えられたからといって満足せず、継続的にコンタクトしていく必要があります

また、ニーズが表面化してきた際に、顧客が例えば口コミを調べて比較検討するということであれば、あらかじめ口コミサイトでの露出を図ります。

いずれにせよ、顧客が普段からどのようなことに興味を持ち、どのような行動を取っているのかの徹底した調査に基づいて施策を検討する必要があります。美容院であれば、予約方法や決済方法がスマートで分かりやすいなども細部では重要ですね。

続いては歯科医院についても同様に考えてみましょう。

歯科医院のマーケティング検討例

マーケティング 歯科医院の例

自分の商品・サービスを購入する顧客が普段どのようなニーズ・悩みを持っているか考える。

虫歯ができたから歯科医院に行く、というのは誰でも思いつくと思いますが、他にも様々あるでしょう。例えば定期検診(予防)で行く、綺麗にしたい(ホワイトニング、矯正)などです。

このような顕在ニーズの他にも潜在的なものとして、歯は痛くないし綺麗にしたいわけでもないのに通院するというのがあるでしょう。

例えば、信頼のおける歯科医師や歯科衛生士に自分や子どもの食生活について相談したいといった健康面でのサポートを期待することはあるかもしれませんし、単に歯科医師や衛生士と長く話したい(話し相手になってほしい)、噛み合わせや滑舌を改善したいというのもあるかもしれません。

特に潜在的なニーズ(歯は痛くないし綺麗にしたいわけでもないのに通院する理由)を検討することは、他の歯科医院との差別化を図る点でも重要でしょう。

共通のニーズを持った人たちのまとまりを考える。

歯科医院へ通院するニーズとそれぞれそのニーズを持った人たちのまとまりは、例えば予防であれば比較的若年層、審美であれば収入が高い層など比較的年齢や収入などの表面的な属性で分けられるケースが多い一方で、例えば噛み合わせの改善はスポーツをやっている人、滑舌の改善はエリート層の就活生やビジネスパーソン、食生活など健康に関するサポート全般は小さな子を持つ親、単に歯科医師や衛生士に話し相手になってもらいたいというのは時間のある高齢者といったまとまりが考えられます。

美容院について検討した時と同様、ニーズ視点で分けてからその人たちに共通項があるかを探してみることが重要です。

どのまとまりのニーズをどのように満たすことに注力するのか考える。

上記全てのニーズに対応することはできないのでどのニーズに注力するのか(時間とお金を投入するのか)を考えます。

歯科医院の場合は、エリア分析を行なって開業場所を選定するケースももちろんあるでしょうが、一方で先祖代々開いてきた場所を引き継ぐことや、なんとなく生まれ育った地元で開業するといったことも多いでしょう。

そのため、多くの場合自分から顧客層を選ぶという形ではなく、既にいる顧客層から選ばれる必要が出てきます。そうなると、自分の医院の周りに住む人々がどのようなニーズを持っているのか分析し、その中から注力するところを選ぶというのが一般的でしょう。

その際、それぞれのニーズの規模や将来性、他の医院との競合を考慮する必要があります。

例えば周りに高齢者が多く、競合する他の医院はインプラントや歯周病治療といった高齢者の顕在的なニーズに対する施術の品質や実績で競争している場合、そこに真っ向から勝負するのではなく、軸を変え、例えば「話し相手になってもらいたい高齢者」という潜在的なニーズを持つターゲット顧客を設定してみます。

徹底的なバリアフリーの設備を設け、歩行など介助する人を雇い、一人あたりの診療時間は一般的な医院よりも1.5倍確保して話を聞くようにするなどが有効かもしれません。

ニーズを持っている人たちにどう接触し自分の商品・サービスを知ってもらうか考える。

さて、「話し相手になってもらいたい高齢者」をターゲット顧客に置いた場合、どのように自分の医院の良さを知ってもらえるでしょうか。これも美容院の検討の際と同様、ターゲット顧客の行動を徹底的に分析する必要があります。

単に高齢者向けの認知度向上を考えれば、直感的にはホームページやSNSなどではなく、例えば看板広告や新聞など古典的なメディアでの接触の方が効果がありそうだと想像できます。また、デイサービスでの訪問診療も高齢者にリーチするという意味では効果があるかもしれません。

高齢者の中でも話をしたい高齢者を考えた場合、普段彼ら・彼女らが街で集まるスペースを分析し、そのようなスペースを医院内に設置するというのも手としては考えられます。

また、歯科医院への通院判断は、その高齢者自身だけではなく、同居人からの勧めが効いているかもしれません。そうなるとその高齢者自身だけではなく、世帯内にどう情報を伝えるかというのが検討のポイントになってきます。

とにかく大事なことは、ターゲット顧客が何に興味があるのか、普段どのような行動をとっているのか何が判断の決め手になっているのか、徹底的に分析することです。

商品・サービスを知ってもらってから購入に至るまでにどんな状態が発生するか考える。

最後に、自分の医院を知ってもらってから診療に至るまでにターゲット顧客がどのような行動を取るのか考え、あらかじめ手を打つことを考えます。

ターゲット顧客が高齢者であれば、予約を入れてもらった後に診療予約日をリマインドするDMを送るようにしたり、有料で送迎サービスを導入したり、院内を徹底的にバリアフリーにしたり、院内ポスターは文字が読みやすいものを採用したり、診断結果を紙で渡したり、といったきめ細かいサービスで満足度を上げることが検討できるでしょう。

ターゲット顧客がどのような行動を取るのか考え、どのような状態が発生するのか仮説をたて、そこに対してあらかじめ手を打っていきます。

汎用的なマーケティングの手法はフレームワーク化されている

マーケティングのフレームワーク

さて、上記に記載したような一連のプロセスは美容院であれ歯科医院であれ適用できます。それがネイルサロンでもフィットネスジムでもレストランでも同様に有効です。

このような有効な手段というのは体系化・フレームワーク化されています。上記で紹介した一連のプロセスはSTPや4Pという有名なフレームワークに沿っています

まずはSTPから見てみましょう。

マーケティングのSTP

STPのS – Segmentation (セグメンテーション)

Segmentation (セグメンテーション)とはまとまりを作ることで、上記のマーケティング活動の中では以下1番・2番に該当します。

  • 普段自分の商品・サービスを購入するだろう顧客が普段どのようなニーズ・悩みを持っているか考える、あるいは調べる。顕在化されたニーズだけではなく、潜在ニーズについても考える。
  • 共通のニーズを持った人たちのまとまりを考える。
  • どのまとまりのニーズをどのように満たすことに注力するのか考える。
  • ニーズを持っている人たちにどう接触し自分の商品・サービスを知ってもらうか考える。
  • 商品・サービスを知ってもらってから購入に至るまでにどんな状態が発生するか考える。

このセグメンテーションは、実はマーケティング活動以外でも私たちが日常生活の中で普段から行なっている「分類」に他なりません。

何かを分類する際には切り口次第で無限のパターンがありますよね。

自身の事業のマーケティング活動においても、様々な切り口を検討することが重要であり、面白いポイントです。

STPのT – Targeting (ターゲティング)

Targeting(ターゲティング)とはセグメンテーションで作ったまとまりの中でどこを狙うのか、まさにターゲットを絞ることです。

本記事で紹介したマーケティング活動のプロセスの中では、以下3番に該当します。

  • 普段自分の商品・サービスを購入するだろう顧客が普段どのようなニーズ・悩みを持っているか考える、あるいは調べる。顕在化されたニーズだけではなく、潜在ニーズについても考える。
  • 共通のニーズを持った人たちのまとまりを考える。
  • どのまとまりのニーズをどのように満たすことに注力するのか考える。
  • ニーズを持っている人たちにどう接触し自分の商品・サービスを知ってもらうか考える。
  • 商品・サービスを知ってもらってから購入に至るまでにどんな状態が発生するか考える。

このターゲティングは非常に重要です。

なぜならここで間違ったターゲット選定をしてしまうと、その後いざ活動をしてみて間違っていた場合に後戻りがしづらく、大きな損失を被る可能性があるからです。

ターゲット選定は次に出てくるP – Positioning(ポジショニング)も考慮します

STPのP – Positioning(ポジショニング)

Positioning(ポジショニング)は、競合との差別化と近い考え方です。

自分の商品やサービスがどのような価値を顧客に提供するのか、それは他と何が違うのかを明確にすることを提唱しています。

本記事で紹介したマーケティング活動のプロセスの中では、以下3番に該当します(ターゲティングとセットのようなイメージです)。

  • 普段自分の商品・サービスを購入するだろう顧客が普段どのようなニーズ・悩みを持っているか考える、あるいは調べる。顕在化されたニーズだけではなく、潜在ニーズについても考える。
  • 共通のニーズを持った人たちのまとまりを考える。
  • どのまとまりのニーズをどのように満たすことに注力するのか考える。
  • ニーズを持っている人たちにどう接触し自分の商品・サービスを知ってもらうか考える。
  • 商品・サービスを知ってもらってから購入に至るまでにどんな状態が発生するか考える。

同じような商品やサービスを提供していても、顧客に対する価値をどう表現・定義するかで顧客側の受け取り方は異なります

インターネットなどで情報が溢れかえる現代では、より顧客の印象に残るためにも、ポジショニングは重要です。

一度セグメンテーション・ターゲティングを行ってみて、そこで競争優位に立てるポジショニングを考えてみたり、ポジショニングを考えてみてからそれに合ったセグメンテーション・ターゲティングを行うという順番もあります。

STPは必ずS→T→Pという一方通行でなくてはならないということはありませんし、一度決めたら変更してはいけないということもありません

何度も行き来し、よりブラッシュアップされたプランを作っていきます。

4P – Product, Price, Place, Promotion

マーケティングの4P

STPが決まったら、4Pの検討に入ります。

4PはProduct, Price, Place, Promotionをまとめたもので、これら4種類の観点から具体的な施策を検討すると漏れがないというものです。

上記で紹介したマーケティングのプロセスの中では、後半部分の4番・5番にあたります。

  • 普段自分の商品・サービスを購入するだろう顧客が普段どのようなニーズ・悩みを持っているか考える、あるいは調べる。顕在化されたニーズだけではなく、潜在ニーズについても考える。
  • 共通のニーズを持った人たちのまとまりを考える。
  • どのまとまりのニーズをどのように満たすことに注力するのか考える。
  • ニーズを持っている人たちにどう接触し自分の商品・サービスを知ってもらうか考える。
  • 商品・サービスを知ってもらってから購入に至るまでにどんな状態が発生するか考える。

4Pのまず最初、Productでは、STPに基づくプランに合った商品・サービスは何か、自社にあるかなどを検討します。

実際には無意識のうちに自社で持っている商品・サービスをベースにSTPを考えることが多いため、検討したSTPのプランに合った商品やサービスは全く実現不可能ということは少ないでしょう。

Priceはその名の通り価格戦略を検討します。主に顧客の予算感覚の観点と、競合の価格と、自社のコストのそれぞれから最適な価格を検討します。

Placeは顧客に商品やサービスが届くまでの流通チャネルを表します。上記で触れた美容院や歯科医院であればあまり流通という概念は無いかもしれませんが、例えば美容院であればホットペッパービューティといった口コミプラットフォームを介して顧客から売上を獲得することが多く、手数料などをリクルート社に払っているのであれば実質リクルート社が流通のようなものであり、戦略上そこに依存していくべきなのか、もっと自店舗や自社メディアなどからダイレクトに売上を増やすべきなのかなどが検討材料となるでしょう。

Promotionは上記でも触れましたが、ターゲット顧客の興味や普段の行動を徹底的に分析して、それに合ったメディアなどを選定して認知度向上や問い合わせ増加などに繋げる施策を検討します。

概ねこの4Pに沿って具体策の検討を進めていけば、検討事項やアクションとしては抜け漏れがなくなります

以上、まずはこれらSTPと4Pを自然と使うことができるようになれば、基本的なマーケティングプランを作成できるようになります。

直感を信じても良い

コトラーによるマーケティングの定義は、「ターゲット顧客のニーズを満足させる価値を探し、生み出し、届ける」であると紹介してきました。

上記で紹介したようなフレームワークを使って一から検討することも重要ですが、業界経験が長い人ほど、顧客にどのようなニーズがあってどのように満たせば良さそうかといった、なんとなくの直感はあるものです。

そのような直感は正しいことも多く、正しいことを証明するために上記のSTPや4Pなどのフレームワークを使って納得感を得ても良いでしょう。

完全に自分に裁量がある場合は別ですが、誰かを論理的に説得しなければならない場合には直感だけが根拠では難しいものです。

自分の直感を信じつつも、ある程度の根拠を持ってそれが正しいことを伝えるためにフレームワークを活用するという入り方でも良いでしょう。

その過程で新たな発見があり、結果的に自分の直感がより具体的な確信に変わったり、成功確率が上がるということがあるはずです。

まとめ – 結局マーケティングとは何なのか?

結局マーケティングとは、「ターゲット顧客のニーズを満足させる価値を探し、生み出し、届ける」ことであるということでした。

それを実現するために、フレームワークを活用するなどして、自分の事業に合ったマーケティングプランを作成してみましょう。

上記でご紹介したのは古典的で非常に基礎的な内容です。上記の考え方をおさえたら、もっとモダンなマーケティングの考え方を学習してみても面白いでしょう。



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